中国原産の家庭犬、番犬
シャー・ペイ
シャー・ペイは中国原産の中型犬で、短く硬い被毛を持ち、身近な人との結びつきを大切にします。知らない人には慎重なことがあり、なじみのある生活の流れと、穏やかでわかりやすい接し方が助けになります。皮膚のしわや目の健康には特に注意が必要です。迎える前には性格だけでなく、この犬種で知られている健康上の問題も具体的に理解しておきましょう。
基本情報
- 大きさ
- 中型
- 体高
- 44~51 cm
- 寿命
- 8~12年
- 運動量
- ほどほど
- お手入れ
- 毎日
- トレーニング
- 根気強く、わかりやすく導く
- 飼育経験
- 飼育経験があると安心
自分のペースを持ち、家族との距離は近い犬
国際的な犬種標準では、落ち着きがあり、自立心が強く、家族には愛情深い犬とされています。身近な人のそばで過ごすのが好きでも、知らない人を同じように歓迎するとは限りません。来客時には初めから近づきすぎず、犬が自分から距離を縮められるようにするとよいでしょう。撫でてもらうためにその場へ押しとどめると、かえって不安を強めることがあります。
ほかの犬とは、リードを張って正面から近づけるより、距離を取りながら静かに一緒に歩くほうが始めやすい場合があります。両方の犬がどのような経験をしてきたか、今どう反応しているかを見ながら進めましょう。猫などの同居動物との出会いにも準備が必要です。家族への愛情が深い犬種という説明だけでは、その犬がほかの動物をどう受け入れるかは判断できません。
寝床へ行く、開いたドアの前で待つといった行動は、わかりやすい合図とご褒美で教えていけます。できた瞬間に褒めると、何を求められているかが伝わりやすくなります。急に触れられるのを避けたり、いら立ったり、以前できた練習を嫌がったりする場合は、痛みが隠れていることもあります。皮膚や耳、目の不調で反応が変わることもあるため、獣医師に相談しましょう。
日々の暮らし
必要な運動量には個体差がありますが、毎日の散歩でにおいを調べたり、飼い主と落ち着いた練習をしたりする時間を楽しむ犬は多くいます。距離や歩く速さは、年齢、体力、健康状態に合わせて考えましょう。暑い日は涼しい時間を選び、休憩を取れるようにしておくと役立ちます。いつもより早く疲れる、息苦しそうにするといった変化は、診察を受ける目安です。
家では、フードを取り出して遊ぶおもちゃを使う方法もあります。例えば小さなくぼみのあるおもちゃなら、鼻先や前脚を使って中のフードを探せます。初めは簡単に取り出せる量と配置にし、楽しめているようなら少しずつ難しくするとよいでしょう。遊びに使う分は、一日の食事量から取り分けておきます。
散歩や家族と過ごす時間があり、静かに休める場所を用意できれば、集合住宅での暮らしも考えられます。子どもには、寝ているときや食事中に邪魔をしないことを伝え、大人が触れ合いを見守りましょう。犬が離れたがるときは、その気持ちを尊重することが大切です。留守番は短い時間から練習し、まだ落ち着いて過ごせない長さの外出には世話を頼める人が必要です。
留守番について
犬が留守番できるようになるには、少しずつ練習する必要があります。英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)は、1回の留守番を4時間以内にするよう勧めています。子犬や、留守番中に落ち着かなくなる犬は、留守にする時間をより短くし、段階的に練習しましょう。それ以上家を空ける場合は、犬を見てもらえる人を手配してください。

毎日のお世話
短い被毛のブラッシングは比較的簡単ですが、皮膚には別の気配りが必要です。深く重なったしわの間には熱や湿気がこもりやすく、細菌や、カビの仲間である酵母が増えることがあります。しわの状態を定期的に見て、獣医師からその犬に合った方法を教わり、清潔で乾いた状態を保つとよいでしょう。必要な手入れの頻度は皮膚の状態によって変わります。
赤み、普段と違うにおい、じゅくじゅくした部分、触れると痛がる様子は、しわの間の皮膚炎を疑うサインです。炎症に加えて感染が起きている場合もあるため、診察を受けましょう。合わない製品で何度も洗うと、さらに皮膚を刺激することがあります。すでに炎症があるときは、自宅の手入れを次々に試すより、原因に合った治療が必要です。
目は刺激や痛みなく開閉できることが大切です。涙が多い、目を細める、顔をこする、目が赤いといった変化があれば、早めに獣医師へ相談しましょう。耳のにおいや分泌物、頭を振るしぐさも痛みを伴う問題の手がかりになります。動物病院で優しい洗浄方法と適した製品を教わり、綿棒を耳の奥へ入れるのは避けましょう。爪の手入れと犬用の歯磨き剤を使った毎日の歯磨きも、少しずつ慣らしていけます。

成り立ちと体の特徴
中国南部に由来し、番犬や狩猟犬などとして働いてきた犬です。20世紀には中国以外でも現在の犬種づくりが進みました。人気が高まる中で、より厚く、しわの多い皮膚を重視する繁殖も行われました。獣医学の研究では、こうした特徴を強めることが健康や暮らしやすさにどう関わるかが検討されています。
体は引き締まっており、横から見た体の長さと高さが近い、ほぼ正方形の体つきです。頭は幅広く、耳は小さめです。被毛は短く硬く、ほかの犬種で外側の毛の下に生える柔らかな下毛はありません。各国の犬の団体が加盟する国際畜犬連盟(FCI)の標準では、体高は44〜51cmで、体重の固定値は示されていません。体高は犬が立った状態で、地面から肩の最も高い部分まで測ります。毛色は白を除く単色が記載されています。成犬の体に過剰なしわがあることや、しわや毛が目の働きを妨げることは望ましくないとされています。犬を選ぶ際には、しわの多さより、見えやすさ、皮膚の健康、無理なく動ける体を大切にしたいところです。
健康
子犬を迎える前には、健康について詳しく話を聞いておきましょう。目の検査結果、皮膚と耳の記録に加え、両親や近い血縁の犬がかかった病気、形の異常を直す手術を受けたかどうかも確認したい内容です。まぶたの手術でその犬の苦痛が軽くなっても、異常を起こしやすい体質が子に受け継がれる可能性は残ります。
眼瞼内反症は、まぶたが内側へ巻き込まれる病気です。まぶたの縁や毛が、目の表面にある透明な角膜をこすり、痛みや重い傷を生じることがあります。視力を失うおそれもあるため、目を細める、涙が多い、赤くなるといった変化があれば早めの診察が必要です。子犬が成長すれば自然に治るかもしれないと、受診を先延ばしにしないことが大切です。
この犬種では、SPAIDと呼ばれる病気も知られています。Shar-Pei Autoinflammatory Diseaseの略で、炎症を繰り返し起こしやすい遺伝的な体質に関わります。自己炎症という言葉は、感染が原因とは確認されていないのに、体の炎症反応が過剰に働くことを表します。発熱を繰り返したり、関節が腫れて痛んだりすることがあります。ただし、熱の原因はほかにもあるため、熱があって元気のない犬は診察が必要です。犬種名だけで原因を決めることはできません。
本来とは異なる形になったたんぱく質が臓器に沈着する、アミロイドーシスも問題になります。特に腎臓が傷むことがあるため、必要な経過観察を獣医師と相談しておきましょう。尿検査は、尿へのたんぱく質の漏れを調べる手段になります。米国コーネル大学獣医学部が紹介する遺伝子検査は、SPAIDを起こしやすいかを評価するものです。現在発症しているかを診断する検査ではなく、ほかの原因や、検査対象以外の遺伝子の変化をすべて除外するものでもありません。
厚くしわの多い皮膚に関係する遺伝的な特徴は、こうした炎症のリスクと関連しています。一方、密に重なったしわや、耳の穴から奥へ続く外耳道が狭いことは、皮膚や耳の感染を起こしやすくする場合があります。仕組みの異なる問題があるため、手入れだけで全てを防ぐことはできず、影響の程度も犬によって異なります。すでに家族の一員である犬には、その状態に合った世話が必要です。これから迎えるなら、強いしわより健康を優先したいところです。米国の犬の団体アメリカン・ケネル・クラブは寿命の目安を8〜12年としていますが、個々の犬の寿命を予測する数字ではありません。
この品種はあなたの暮らしに合いそう?
こんな場合に合う可能性があります…
- 犬と暮らした経験があり、自分のペースを持ちながら家族と親しく過ごす犬を迎えたい。
- 皮膚、目、耳を丁寧に確認し、必要な獣医療を受けられるよう準備できる。
- 健康状態とその犬自身の行動を見て選び、人や動物との出会いを落ち着いて準備できる。
こんな場合は合わない可能性があります…
- 皮膚、目、耳の継続的な治療や、発熱時の検査などに使える時間と予算が限られている。
- 来客やほかの犬との近い接触をすぐに喜ぶ犬を期待し、穏やかな出会いを準備する余裕がない。
- 日中の大半を留守番させる予定で、世話を頼める人を手配できない。
ニーズは似ていても、犬はそれぞれ。
大きさ、運動量、お手入れ、トレーニングの特徴が共通する犬種を選んでいます。
出典と写真クレジット
- Teaching your dog to be left alone
このプロフィールでの参照箇所: 留守番について
- Dental disease in dogs
このプロフィールでの参照箇所: 毎日のお世話
- Ear problems in pets
このプロフィールでの参照箇所: 毎日のお世話, 健康
- Entropion in dogs
このプロフィールでの参照箇所: 毎日のお世話, 健康
- Skin fold dermatitis in dogs
このプロフィールでの参照箇所: 毎日のお世話, 健康
- Grooming and bathing pets
このプロフィールでの参照箇所: 毎日のお世話
- Teaching your dog to be left alone
このプロフィールでの参照箇所: 日々の暮らし
- Separation-related behaviour
このプロフィールでの参照箇所: 日々の暮らし
- Training your dog
このプロフィールでの参照箇所: 日々の暮らし
- Chinese Shar-Pei
このプロフィールでの参照箇所: 気質, 日々の暮らし, 寿命, この品種はあなたの暮らしに合いそう?
- Shar Pei, FCI Standard No.309
このプロフィールでの参照箇所: 大きさ / 体重, 気質, 毎日のお世話, 成り立ちと体の特徴, この品種はあなたの暮らしに合いそう?
- Shar-Pei Fever
このプロフィールでの参照箇所: 健康
- Shar-Pei Autoinflammatory Disease (SPAID)
このプロフィールでの参照箇所: 健康
- Is it now time to iron out the wrinkles? Health of Shar Pei dogs under primary veterinary care in the UK
このプロフィールでの参照箇所: 気質, 成り立ちと体の特徴, 健康, この品種はあなたの暮らしに合いそう?
写真の出典
正面 · Dasha 6.jpg · Tetike · CC BY-SA 4.0 · 編集済み
毛並みと特徴 · Shar-Pei Head.JPG · Томасина · CC BY-SA 3.0 · 編集済み
子犬 · Dog. Galiza.jpg · Luis Miguel Bugallo Sánchez · CC BY 3.0 · 編集済み
日常の様子 · Shar-Pei - Lučenec (Slovakia).jpg · Ladislav Luppa · CC BY-SA 3.0 · 編集済み




