ごほうびが学習を助ける仕組み
ごほうびを使うトレーニングでは、ある行動のあとに犬にとってうれしいことが起こると、その行動を繰り返しやすくなります。小さく分けた食べ物、短い遊び、においを嗅ぎ続ける機会などがごほうびになります。何が効果的かは状況によっても変わります。たとえば、なでられると顔をそむける犬にとって、なでることは適切なごほうびではありません。
犬が行動とごほうびを結び付けられるよう、望ましい行動の直後にごほうびを与えるのがよいでしょう。短くやさしい言葉で、うまくできた瞬間を知らせてからごほうびを渡すこともできます。繰り返すうちに、犬はその言葉のあとにごほうびが来ると学びますが、言葉だけでごほうびの代わりになるわけではありません。食べ物を使う場合は、小さく分けて使う分を練習前に量り、1日の食事量に含めておくとよいでしょう。
犬ができる段階から練習する
新しいことは、静かな場所のほうが覚えやすくなります。家で合図に応じられても、屋外で同じようにできるとは限りません。ほかの犬との距離が近くなること、練習が長くなること、気になるにおいが加わることでも難しさが変わります。最初はこのうち1つの条件だけを少し変えると、犬がどこまで理解しているか分かりやすくなります。
たとえば、犬がマットの上に少しの間いられたら、ごほうびを与えます。次はあなたがそばにいるまま、その時間を少し延ばします。1歩離れたり、部屋の中で動いたりするのは、そのあとです。こうすると、犬が理解した段階と、まだ練習が必要な段階を見分けられます。何度も失敗するなら、まず練習を簡単にするとよいでしょう。
呼び戻しは短い距離から練習する
最初は静かな部屋や、しっかり囲われた安全な場所で、数歩の距離から始められます。犬が自然にあなたのほうを向いたときに、決めた呼び戻しの言葉をかけ、近づいてきたらごほうびを与えます。慣れてきたら、距離や練習場所を変えられます。屋外では、体に合ったハーネス(胴輪)にロングリード(長いリード)を付けると、犬の安全を確保しやすくなります。ただし、ロングリードが確実な呼び戻しの代わりになるわけではありません。
戻ってくるたびに楽しい時間が終わると、犬は戻りにくくなります。ごほうびを与えたあと、またにおいを嗅いだり遊んだりできるようにすることもあります。戻るまでに時間がかかった犬を、戻ってきたときに叱らないでください。野生動物や車など、予測できる危険がある場所では、練習を始める前に犬を安全に制御できる状態にしておく必要があります。
リードをゆるめて歩く練習
リードをゆるめて歩くとは、散歩中ずっとあなたの膝の横にいることではありません。普段の散歩では、リードが張らず、一緒に方向を変えられれば十分なことが多いでしょう。静かな場所で短く練習し、犬があなたを見たり、リードをゆるめたまま数歩歩いたりしたらごほうびを与えます。そのあと、またにおいを嗅ぐ時間を取れます。
犬がにおいやほかの犬に向かって引っ張るときは、その場での練習が難しすぎるのかもしれません。気になるにおいのする場所やほかの犬から距離を取るか、より静かな道を選ぶと、練習しやすくなります。リードを急に強く引くことは避けてください。犬が再びあなたに注意を向けられるようになったら、リードをゆるめて歩く練習を再開できます。短い練習の合間には、落ち着いて周囲を探索する時間も取りましょう。
お手入れも少しずつ練習する
足を拭く、被毛をブラッシングする、ハーネスを着けるといったことは、暮らしの中で繰り返します。最初は足に短く触れ、すぐに小さな食べ物をごほうびとして与えるだけでも十分です。犬が落ち着いて受け入れられるようになったら、布を使う練習も加え、片足をさっと拭く段階へ進めます。体に合う道具と滑りにくい足元も、犬が協力しやすい環境づくりに役立ちます。犬が顔をそむける、体をこわばらせる、離れていく場合は、練習を簡単にするか休憩を入れるとよいでしょう。
世話をする人が同じように進めると、お手入れの練習も続けやすくなります。犬が落ち着いてできることと、まだ難しい段階を短く記録しておくと、ほかの世話人にも伝わります。以前は受け入れていた触れ方を急に嫌がるようになったら、体に原因がないか調べる必要があります。痛みが疑われる場合は、その触れ方を再び練習する前に獣医師に診てもらってください。
専門家と個別の対応を考えたいとき
強い恐怖、繰り返し威嚇する行動、人やほかの動物を噛むこと、留守番中の強いストレスがある場合は、その犬に合わせた評価と計画が役立ちます。動物病院では健康上の原因を調べられます。犬の行動を評価する専門家や、ごほうびを使うトレーニングに詳しい有資格の専門家は、次の対応を考える助けになります。それまでの間は、犬が怖がったり威嚇したりする相手から距離を取り、直接接触してトラブルになりそうな場合は安全に場所を分けるとよいでしょう。世話をする人にも注意点を伝え、避けられるトラブルを減らすことが大切です。
よい指導者は方法を説明し、その犬の様子をよく見ます。決まった回数の指導で必ず成功すると約束したり、犬種を理由に痛みや威圧を正当化したりはしません。進歩は日常の中で確かめられます。犬があなたの呼びかけに応じやすくなり、無理なく練習でき、世話をする人も次の段階の進め方を理解できているかが目安です。
よくある質問
うちの犬は、もう学ぶには年を取りすぎていますか?
成犬や高齢の犬も学べます。練習することは、動きやすさ、視力や聴力、健康状態に合わせるとよいでしょう。高齢の犬には、体に負担のかかる芸よりも、スロープを落ち着いて使えることのほうが役立つ場合があります。
ずっとおやつを使って練習する必要がありますか?
犬が行動をよく理解したら、ごほうびの種類を変えることもできます。気になる場所でにおいを嗅ぐことや、一緒に遊ぶこともごほうびになります。ただし、新しい場面や難しい場面では、犬にとって十分うれしいごほうびを引き続き与えるとよいでしょう。
出典・写真クレジット
- Position Statement on Humane Dog TrainingAmerican Veterinary Society of Animal Behaviorごほうびが学習を助ける仕組み · 犬ができる段階から練習する · リードをゆるめて歩く練習 · お手入れも少しずつ練習する · 専門家と個別の対応を考えたいとき
- How to train your dogRSPCAごほうびが学習を助ける仕組み · 犬ができる段階から練習する
- Train your dog to come when calledRSPCA呼び戻しは短い距離から練習する
- Train your dog to stop pulling on the leadRSPCAリードをゆるめて歩く練習
- Life Stage ChecklistsAAHAお手入れも少しずつ練習する
写真の出典
写真: Three-month old Lab-golden cross practicing with puppy raiser.jpg · Cecilemckee · CC BY-SA 4.0. 縦横比を保って縮小し、WebP形式で保存しました。画像の全体を残しています。

