野生のカナリアから家庭で飼うカナリアへ
家庭で飼われるカナリアの祖先は、野生のカナリア(Serinus canaria)です。人が何世代にもわたって選んで繁殖させた結果、羽の色、さえずり方、体の特徴が異なるカナリアが生まれました。野生の祖先は、黄色やオレンジ色の飼い鳥の多くと比べて目立たない色をしています。羽の色だけでは、その鳥がどれほど人に慣れるか、どれほど活発になるかはほとんど分かりません。
ドイツ動物保護連盟によると、寿命は通常10~12年ほどで、15年生きる鳥もまれにいます。迎える前に、旅行中や飼い主が病気になったとき、引っ越すときの世話を誰が担えるか考えておくとよいでしょう。外見を大きく変えるように繁殖された鳥については、周囲を見たり、飛んだり、羽づくろいをしたりするのに支障がないか確かめることが大切です。鳥を見に行く際は、どの鳥も繰り返し追い払われることなく、餌、水、休む場所に近づけるかも観察してください。
距離を取れる場所もある仲間との暮らし
カナリアは相性のよい仲間と暮らせるようにしたいものです。すでに仲よく暮らしている2羽や、鳥に詳しい人が相性を見て組み合わせた群れなら、互いに関わる機会があります。ただし、どの鳥も常に寄り添っていたいわけではありません。餌場を複数設け、止まり場所を離して配置すると、1羽だけを別の場所に隔離しなくても、鳥が仲間から少し離れて過ごせます。
繁殖期には、オスが自分の縄張りを普段より強く守ることがよくあります。1羽が繰り返し追いかけられる、餌に近づけない、けがをするといった場合は、鳥を分けてください。そのために、別の適切な鳥舎か、仕切れる場所を用意しておくとよいでしょう。長く別々に暮らす必要がある場合は、分けた先でも十分に飛べる空間が必要です。
新しく迎えた鳥は、ほかの鳥と一緒にする前に、鳥の診療に詳しい獣医師に診てもらうことが勧められます。最初にどのように分けておくかは、その鳥の健康状態とこれまでの経緯によって決まります。初めて飼うなら、別々に迎えた鳥をその場で組み合わせるより、すでに穏やかに暮らしている群れのほうが相性を判断しやすいでしょう。一緒に暮らし始めてからも、季節とともに関係が変わるため、日々の様子を見てください。
飛ぶ、水浴びをする、静かに眠る
横に長い長方形の鳥舎なら、カナリアが続けて何度も羽ばたけます。背が高くても幅の狭いケージでは、その距離を確保しにくくなります。ドイツ動物保護連盟は、毎日数時間、鳥舎の外で飛べる2~6羽について、鳥舎の大きさを長さ2 m以上、幅1 m以上、高さ2 m以上と勧めています。鳥舎の外で飛ぶ機会がない場合、6羽までなら床面積4 m²以上、高さ2 m以上を勧めています。
屋外の鳥舎には、鳥がいつでも自分で入れる保護室も必要です。風雨や暑さを避けられる場所にしましょう。一年中屋外で飼う場合は、冬も保護室の中を暖かく保つ準備が必要です。ドイツ動物保護連盟は、保護室内を10 ℃以上に保つことを勧めています。迎える前に、予定している場所でどう実現するか、鳥の飼育環境に詳しい人と相談するとよいでしょう。
太さの違う自然の枝を止まり木に使うと、鳥は足の握り方を変えられます。枝の間には、鳥が飛び抜けられる通り道を残してください。止まり木やおもちゃを詰め込むと、飛ぶための空間が減ってしまいます。浅い水浴び皿は羽の手入れに役立ちます。餌と水は、上の止まり場所から落ちるふんで汚れない位置に置きましょう。
夜は、昼と夜の明るさが規則的に切り替わる静かな場所で休めるようにします。夜遅くまでついているテレビ、頻繁に変わる室内灯、人が何度も近くを通ることは、眠りを妨げます。調理中の蒸気や煙、熱い湯、熱くなったコンロなどの調理設備があるため、台所は鳥を飼う場所に適しません。鳥を飛ばす部屋では、有毒な植物に触れられないようにします。また、鳥が中に落ちるおそれのある、ふたのない容器は片づけておきましょう。
好きな種だけを選ぶ食べ方に気をつける
カナリアは種の混合飼料から好みの種を選んで食べがちです。そのため、実際の食事は袋の表示から想像するより偏ることがあります。カナリア用のペレットは、原料をまとめて小さな粒に固めた餌なので、特定の種だけを選び出せません。鳥の診療に詳しい獣医師に相談すれば、ペレットに種や新鮮な植物性の餌をどう組み合わせて、バランスのよい食事にするか助言を受けられます。新しい餌には少しずつ切り替え、その間は鳥ごとの体重も確認しましょう。すべての鳥が新しい餌を確実に食べるようになるまでは、食べ慣れた餌も用意しておきます。
細かく刻んだニンジンやブロッコリーなど、洗った野菜を少量加えると、食事に変化をつけられます。新鮮な水と清潔な餌入れも毎日の世話に欠かせません。種の空殻は、残っている餌として数えないでください。複数で飼う場合は、餌場がにぎわっていても全員が食べられたとは限らないため、控えめな鳥が食べているかも見ておくと役立ちます。
不溶性グリットとは、一部の鳥が胃の中で食べ物をすりつぶすために飲み込む細かな石のことです。カナリアは種を食べる前に殻を自分で取り除くため、不溶性グリットを必要としません。この石は、食事で不足するカルシウムを補うものでもありません。カルシウムなどの補助食品が必要かどうかは、ふだん食べている餌をすべて伝えたうえで、鳥の診療に詳しい獣医師に相談するとよいでしょう。
さえずり、繁殖期、健康の変化を見分ける
さえずり方は鳥ごとに違い、季節や換羽によっても変わります。換羽とは、古い羽が新しい羽に生え替わることです。1日静かにしているだけでは、理由は分かりません。食欲や活動量も落ちている、呼吸の様子が変わっているといった場合は、鳥の診療に詳しい獣医師に診てもらいましょう。羽が抜けて皮膚が見える部分、傷ついた皮膚、全身状態の明らかな悪化を、単なる換羽と決めつけないことも大切です。呼吸が明らかに苦しそうなときは、鳥の診療に詳しい動物病院か獣医の救急診療にすぐ連絡してください。
巣を作れる場所や巣材があると、繁殖行動が促されることがあります。用意する前に、望まないひなが生まれないようにする方法を考えておきましょう。卵を産んだ場合は、その後の対応を鳥の診療に詳しい動物病院に相談してください。産卵を繰り返すと、メスの体に負担がかかります。
年を重ねると、気に入った止まり場所へ行くのが難しくなることがあります。健康状態を診てもらったうえで、届きやすい枝や餌場を増やすと助けになります。配置を変えるときも、慣れた移動経路はできるだけ分かりやすく保ちましょう。高齢の鳥にも、仲間との関わり、興味を持てる活動、体の状態に合わせて動ける機会が必要です。
よくある質問
さえずるのはオスのカナリアだけですか?
いいえ、メスもさえずります。ドイツ動物保護連盟によると、メスのさえずりはオスより少なく、声も小さめです。そのため、特に若い鳥では、さえずりと羽の色だけで性別を確実に判定することはできません。
カナリアにおもちゃは必要ですか?
水浴び、鳥に適した新鮮な枝、餌の出し方の工夫、飛べる空間が活動の機会になります。外れやすい小さな部品、ほつれた糸、仲間の代わりとして置く鏡は避けましょう。
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出典・写真クレジット
- KanarienvögelDeutscher Tierschutzbund野生のカナリアから家庭で飼うカナリアへ · 距離を取れる場所もある仲間との暮らし · 飛ぶ、水浴びをする、静かに眠る · さえずり、繁殖期、健康の変化を見分ける
- Canaries: FeedingVCA Animal Hospitals好きな種だけを選ぶ食べ方に気をつける
- Housing and environments for pet birdsRSPCA飛ぶ、水浴びをする、静かに眠る
- Living with other birdsRSPCA距離を取れる場所もある仲間との暮らし
- Geriatric diseases of pet birdsMerck Veterinary Manualさえずり、繁殖期、健康の変化を見分ける
- Die Haltung von Kanarienvögeln: Tipps und InfosDeutscher Tierschutzbund距離を取れる場所もある仲間との暮らし · 飛ぶ、水浴びをする、静かに眠る
写真の出典
写真: Domestic canary from Morocco.jpg · Mounir Neddi · CC BY-SA 4.0. 縦横比を保って縮小し、WebP形式で保存しました。レイアウトによっては画像の一部が切り取られて表示されます。
写真: Domestic canary 2.jpg · Yavor Uzunov · CC0. 縦横比を保って縮小し、WebP形式で保存しました。レイアウトによっては画像の一部が切り取られて表示されます。
写真: Domestic canaries (serinus).jpg · Yavor Uzunov · CC0. 縦横比を保って縮小し、WebP形式で保存しました。レイアウトによっては画像の一部が切り取られて表示されます。
写真: Serinus canaria, Ponta de São Lourenço, Madeira, Portugal (53285298880).jpg · Donald Davesne from Paris, France · CC BY 2.0. 縦横比を保って縮小し、WebP形式で保存しました。レイアウトによっては画像の一部が切り取られて表示されます。






