種を確かめ、長期的な飼育を考える
ヘルマンリクガメ(Testudo hermanni)は地中海沿岸の一部に生息しています。リクガメや水生のカメの飼育と保全に取り組む英国の団体、British Chelonia Groupは、この種に西部型と東部型があると説明しています。英語名はHermann's tortoise、ドイツ語名はGriechische Landschildkröteです。名前が似ているTestudo graecaは別の種です。個体の出自や種がはっきりしない場合は、詳しい飼育計画を立てる前に確認する必要があります。
ヘルマンリクガメは何十年も生きることがあります。十分な屋外スペース、屋外の環境が適さないときに暖められる避難場所、毎日の安定した世話が必要です。迎える前に、旅行中や病気のときに世話を頼める人を決め、カメの診療経験がある動物病院も探しておきましょう。
屋外飼育場を暮らしやすい環境にする
ヘルマンリクガメの飼育には、広く変化のある屋外スペースが重要です。英国の動物福祉団体RSPCAは、1匹につき約10 m²を目安として挙げています。囲いは、カメが登って越えたり、下を掘って抜け出したりできない構造にします。何もない芝生だけよりも、丈夫な囲い、雨風を避けられる隅、変化のある地面、乾いた通り道が役立ちます。犬や、そのほか予想できる危険からどう守るかも考えておく必要があります。
日光は大切ですが、カメが日陰や雨風を避けられる乾いた隠れ場所にも行けるようにします。小さな起伏や適した植物、地面を掘れる場所を用意すると、カメが歩いたり隠れたり掘ったりして過ごせる飼育場になります。常に湿って冷たい地面や深い水入れは避けます。浅くて倒れにくい水入れには、いつでも行けるようにしてください。園芸用の薬剤や、種類の分からない植物を餌を食べる場所に入れないようにしましょう。
室内飼育に必要な保温と紫外線B波(UVB)
屋外の環境が適さないときや、健康上の理由で冬も活動したまま過ごすときには、室内の飼育場所が必要です。RSPCAは、体を温められる日なたに相当する場所、涼しい場所、紫外線B波(UVB)を出す照明を備えた、広さのある環境を勧めています。UVBはビタミンD3の生成を助け、餌に含まれるカルシウムを体が利用するために必要です。窓ガラス越しの日光では、必要なUVBを得られません。
保温器具は、甲羅や皮膚が触れない位置に取り付けます。サーモスタットは、温度センサーの測定値に応じて保温器具を調節する装置です。それとは別に、カメが過ごす高さで温度を測ると、実際に適切な暖かさか確かめられます。ランプのワット数だけでは判断できません。暖かい場所に加え、歩き回り、隠れ、涼しい場所へ移動できる広さも必要です。換気が適切でない狭いガラス製の飼育ケースは、成体の長期的な住まいには向きません。
さまざまな野草を与える
ヘルマンリクガメは主に繊維の多い植物を食べます。RSPCAは、タンポポ、オオバコ、ハコベ、クローバーなどを餌の例に挙げています。植物の種類を正しく見分け、種類を変えながら、清潔で農薬のかかっていないものを用意することが大切です。果物、動物性の餌、タンパク質の多い豆類は日常の餌に含めません。タンパク質の取りすぎは健康を損なうおそれがあります。
カルシウムを体が利用するにはUVBも必要です。カルシウムの補助剤が必要か、必要ならどのくらいかは、個体と普段の食事に合わせて確認しましょう。複数の製品を自己判断で重ねて使うことは避けます。浅い容器に入れた新鮮な水は、常に飲めるようにします。食欲、体重、ふん、甲羅の状態を定期的に観察し、記録しておくと役立ちます。飼育場を歩き回っていても、変化があれば注意が必要です。
冬季休眠に備える
ヘルマンリクガメでは、冬季休眠が自然な年間の生活の一部になることがあります。ただし、休眠させるかどうか、どのように行うかは、その個体の健康状態、体重、年齢、飼育環境によって決まります。RSPCAは、予定している休眠の前に獣医師の診察を受けるよう勧めています。病気や衰弱したカメを、そのまま寒い場所に置いてはいけません。冬も活動したまま過ごすカメには、適切な保温、照明、餌、水が必要です。
冬の管理は、そのカメの状態に合わせて進めます。休眠に向けて温度を下げる段階、休眠中の見守り、目覚める段階のいずれも、確実な温度管理と獣医師の助言が必要です。どの段階での誤りも危険につながります。予想外に食べる量が減ったり、普段と違ってじっとしていたりする場合は、季節による変化と判断する前に、爬虫類の診療経験がある獣医師に健康状態を診てもらいましょう。
病気が分かりにくいカメの変化に気づく
リクガメは病気の兆候が目立ちにくいことがあります。体重の推移が安定しているか、目が澄んでいるか、楽に呼吸しているか、普段どおりに動くか、甲羅が硬く傷ついていないかを観察しましょう。呼吸困難、強い衰弱、重いけががあれば、すぐに獣医師の診察を受けてください。鼻水、ゼーゼーと音のする呼吸、柔らかい甲羅、活動量の明らかな低下も、爬虫類の診療経験がある獣医師に早めに相談する必要があります。犬にかまれたり、落下したりした場合も、甲羅に重い損傷が生じることがあります。
イリノイ大学獣医学部は、飼育環境と食事が健康に深く関わるため、定期的な獣医師の診察を勧めています。体重、与えた植物、ランプの交換、屋外飼育場の変更、冬の過ごし方について年間を通じて記録すると、変化を追いやすくなります。旅行中や病気のときに世話をする人にも、毎日の手順と動物病院の連絡先をあらかじめ伝えておきましょう。
よくある質問
ヘルマンリクガメとTestudo graecaは同じ種ですか?
いいえ。ヘルマンリクガメはTestudo hermanniです。Testudo graecaは日本語でギリシャリクガメと呼ばれる別の種で、英語名にはGreek tortoiseやspur-thighed tortoise、ドイツ語名にはMaurische Landschildkröteがあります。似た名前を取り違えないようにしましょう。
ヘルマンリクガメは1年中屋外で飼えますか?
屋外飼育には、危険を避けられる設備と、その時期に適した環境が必要です。寒い時期や、冬も活動したまま過ごさせる場合には、適切な室内の飼育場所を用意します。冬季休眠を行う場合は、経験のある獣医師と立てた個別の計画に沿って進めます。
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出典・写真クレジット
- Spur-thighed, Hermann's, marginated and Horsfield's tortoisesRSPCA種を確かめ、長期的な飼育を考える · 屋外飼育場を暮らしやすい環境にする · 室内飼育に必要な保温と紫外線B波(UVB) · さまざまな野草を与える · 冬季休眠に備える · 病気が分かりにくいカメの変化に気づく
- The tortoise and its careUniversity of Illinois College of Veterinary Medicine種を確かめ、長期的な飼育を考える · 屋外飼育場を暮らしやすい環境にする · 室内飼育に必要な保温と紫外線B波(UVB) · さまざまな野草を与える · 冬季休眠に備える · 病気が分かりにくいカメの変化に気づく
- Care of the Hermann's Tortoise (Testudo hermanni)British Chelonia Group種を確かめ、長期的な飼育を考える
写真の出典
写真: Testudo hermanni Boettgeri - 01 · NorbertNagel · CC BY-SA 4.0. 画像をトリミングして縮小し、WebP形式に変換しました。
写真: 2026-06-16 Juvenile Hermann's Tortoise in Boljevići, Montenegro.jpg · Alexkom000 · CC BY 4.0. 画像を縮小してWebP形式に変換しました。写っている場面は変わっていません。
写真: Hermanni boettgeri Pag.jpg · Palauenc05 · CC BY-SA 4.0. 画像を縮小してWebP形式に変換しました。写っている場面は変わっていません。
写真: Tortue d'Hermann.jpg · Kyrnos Publication · CC BY 4.0. 画像を縮小してWebP形式に変換しました。写っている場面は変わっていません。





